あなたの住んでいるところは本当に「待機児童ゼロ」??

保護者向け

今日は私が当選直後から取り組んでいる「待機児童問題」についてお話をしたいと思います。

 

今回の記事は一般の方にも「そんな問題があるんだ」と勉強になると思いますし、全国の地方議員の今後の行政チェックにも役立つことと思います。

 

ぜひご一読いただければと思います。

ちなみに前回の6月議会でもこの問題を取り上げましたが、事実と一般論をごっちゃにした答弁がなされ、「加須市は指針に基づいた調査がなされている」と勘違いをしてしまいました。

 

その6月議会の答弁がこちら↓

宮代)
(加須市における保留児童の最新の数字とその内訳を伺った後に)「特定の保育所を希望している」とは具体的にどのような希望ですか?
執行部)
「特定の保育所を希望する理由としては、自宅や勤務先までの距離、保育内容や保育時間、学童保育との接続など、ご家庭によって異なります。

 

このように個別に調査をして、加須市の実情を知っているような回答でしたが、後日、再調査をすると「これは一般論である」との回答がありました。

もちろん、私の事前調査の段階で「加須市は指針に基づいた調査ができていない」ということが分かっていたので取り上げたのですが…。

私がその場で「事実ですか?」と聞けばよかったと反省はしています。ですが加須市の状況を聞いたのに、自分たちの調査結果のような言い方で一般論を提示するのはさすがに不誠実だと感じました。

 

ということで本編をどうぞ!

超絶まとめ

待機児童ゼロは多くの場合、調査してないだけ。もちろん加須市も例外ではなく調査不足。
事なのは正確に把握し、必要な支援を講じ、困っている人を減らす事では??

 

本編

待機児童の数は2017年の26,081人をピークに年々減少し、今ではなんと2,680人となりました。(約10分の1)

今では1,741自治体の内86.7%(1,510)が待機児童ゼロを達成しています。(R5.4)

 

ですが、みなさんは『隠れ待機児童』という存在をご存じでしょうか。

これは待機児童には含まれないが、実際には保育所に入れず待機している子ども達のことを指します。

 

この「隠れ待機児童」は全国に6~7万人いると言われています。

単純計算で待機児童7万人を1,741自治体で割ると、各自治体に40.2人いる計算になります。

 

それでは国が発表している「待機児童の数」と「隠れ待機児童の数」には、なぜそのような乖離があるのでしょうか。

 

それは『待機児童の定義』『調査の仕方』に問題があります。

『待機児童の定義』については、2017年以前は各自治体に任されていたため、定義がバラバラでした。

そしてそれを問題視した厚労省が2017年に新たに定義を定めました。それと同時に定義に則った調査をするように指針も出しました。

 

まずはこの「定義」に穴が空いている問題があります。

 

例えば「保育所に落ちたため求職活動ができない」となった場合、現在の定義では「求職活動していないなら待機児童ではない」と問答無用で認定されます。

 

仮に「実家から離れ、周りに頼れる人がいないため、保育所に落ちたら求職活動ができない」としてもです。他にも穴だと感じる定義もありますが、今回は割愛します。

 

そして今回、私が皆さんに特に伝えたいのが『調査の仕方』です。

 

国は「この指針に沿って待機児童調査をしてね」と指針を出しています。

まずはこの国の指針に沿った調査ができていれば多くの隠れ待機児童は可視化されます。ですが、この指針に沿って調査ができていない可能性が大いにあります。

 

そんな調査については以下の3つを紹介します。

 

①『特定の保育所(ここに絶対預けたい!等)を希望する』と待機児童には含まれません。

もちろん「物理的に通えない保育所」は含まれません。なので、「無理なく通える範囲にある保育所」の全てに落ちた場合は『待機児童』になります。

 

ここで問題なのが、「無理なく通える保育所」を「役所と親で確認」をする必要があるということです。もし確認がされていないのであれば、「調査をしていない」ということになります。

 

国の指針には役所が、通えるかどうかを「地理的な要因や通常の交通手段の違い、通勤経路等を踏まえて判断」するように示しています。

 

ちなみに加須市は市内のすべての認可園を「通える保育所」と独自に認識しており、各家庭への調査はしていません。つまり、すべての園に申し込み、すべての園に落ちないと待機児童にはなりません。例え兄弟で端と端の園になり、物理的に仕事に通えない保育所であっても市は「通える保育所」として認定し、「特定の保育所を希望している」として待機児童から除外します。

 

続いて、

②保育所の選考に落ちた後、「求職活動を行っていない」のであれば、いかなる場合においても現状、待機児童になりません。

なので、選考に落ちた後に「求職活動を行っているかどうか」を役所はメールや電話などで個別確認をします。そして必要であれば「求職活動を行っている証明書」の提出を求めます。選考後も求職活動を行っていると判断された際は『待機児童』になります。

 

なので、選考後に「求職活動をしているかどうか」の連絡が無い場合は、調査をしていない。ということになります。

 

ちなみに加須市は「選考後に求職活動をしているかどうかの調査はしていません」という回答でした。

 

続いて

③「育児休業中」は復職する意思が無ければ、待機児童には含まれません。

保育所の選考に落ちた後に役所が「復職する意思」を個別に確認をします。そして、復職する意思が確認できる場合は『待機児童』に含めます。

 

これも当然、確認の連絡が無い場合は調査していないことになります。

 

ちなみに加須市は、申し込み時点で書類により復職する意思を確認しているため「間違いはない」という回答をいただいています。(途中で意向が変わった場合については把握していない)

 

まとめます。待機児童として認められる例とその調査方法については以下の通りです。

①選考後、役所と「物理的に通える保育所」を確認し、その保育所全てに落ちれば待機児童。

②選考後、求職活動をしているかどうか個別確認をし、活動を認められれば待機児童。

③選考後、育児休業中でも復職する意思を個別確認し、その意思が認められれば待機児童。

そしてそれぞれ確認がされていなければ調査不足です。

このように国は「待機児童の定義」とその「調査について」の指針を出しています。

他の自治体の詳しい状況までは調査できていませんが、恐らく指針に沿って調査をしていないと思います。自信はあります。

なぜなら自分の自治体だけキチンと調査をして「待機児童がいる」とレッテルが張られるとマイナスイメージにつながりやすいです。なので、正確な調査をしない、都合の良い解釈をするなどして待機児童の数を減らしている。そのような現状が全国にあると考えています。

真面目にやってもメリットがない(というよりは小さい)し、やらなくても罰則はない。

「だからやらない」そう判断している自治体がほとんどだと思います。

ですが、大事なのは「待機児童ゼロ」という看板を守ることでしょうか。違いますよね。「預けたいのに預けられなかった」という親の悩みや不安を少しでも和らげる、できれば取り除く、そのようにすることが本来の目的のはずです。

正確な待機児童の数を把握せず、どうやって困っている家庭に支援ができるのでしょうか。

まずは正確な数字に向き合わないといけません。そこからどのような救済の施策を講じるか、仮説と検証が求められます。

そして国民に求められるのは「待機児童ゼロ」という看板を鵜呑みにしてはいけないということです。鵜呑みにするから「待機児童ゼロ」の看板を各自治体は何としても死守したいのです。

そして各自治体は「待機児童ゼロ」を心から喜べるような調査と、そこに向けた取り組みが求められるのではないでしょうか。

「待機児童ゼロ」の看板を死守することが目的で、「隠れ待機児童」に必要な支援をしない自治体と、正確な調査で「待機児童数を公表」し、その待機児童に対する支援を講じる自治体。

皆さんはどちらに住みたいですか??

ではまた!

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