みなさんは、市民が提出した請願が議会でどのように扱われているかご存じでしょうか。
今回は「加須市議会基本条例に基づき、市民からも評価を受ける仕組みをつくろう」というシンプルな請願についてのやり取りを紹介します。
議会基本条例は「市民の声を大切にする」とうたって施行されたものですが、これまで7年間、市民による評価は一度も行われていません。
そこで「市民からも意見を聞き、議会改革につなげてほしい」という至極まっとうな内容の請願が提出されました。
しかし実際の委員会では、どういう議論が展開されたのか。以下にそのやり取りを載せます。
請願審査in議会運営委員会
宮代)
皆様におかれましては、お疲れのところお集まりいただきありがとうございます。それでは早速、紹介議員として請願の紹介をさせていただきます。
請願書を読み上げ、その後は独自調査の結果も踏まえた請願を可決する理由をお伝えいたします。
それでは請願書を読み上げます。
【件名】加須市議会基本条例に基づく議会活動について、議会内部だけでなく市民からも評価を受ける機会を設け、より正しい評価の下、継続的な議会改革の取り組みを求める請願
【要旨および理由】加須市議会基本条例は、平成30年7月に施行され、市民アンケートを通じて寄せられた意見や要望を参考にしながら検討・協議が進められた、市民本位の理念を重視した条例です。この条例は、市民と議会の信頼関係を築くうえで重要な役割を果たしており、その精神を今後の議会運営においても継続・発展させていく必要があります。
現在、議会では隔年ごとに「基本条例に沿った運営がなされているか」を自己評価する取り組みを実施しており、これは大変意義深いものです。しかしながら、市民からの評価は、条例施行から7年以上が経過した現在に至るまで一度も行われておらず、自己評価として議会内部の視点にとどまっています。
こうした中、かつて議会運営委員会において市民アンケートの実施が提案された際には、
・「市民に評価は難しい」
・「評価は議員が行うべき」
といった理由から、不採択となりました。
しかし、市民アンケートの結果を参考に条例の検討が進められた経緯がある以上、運用状況についても市民からのフィードバックを得る仕組みを設け、結果を改善に反映させることが、同条例の趣旨に適うと考えます。
さらに、議会報告会の参加者が限られている現状や、議会活動が市民に十分に伝わっていないという課題を踏まえると、むしろ積極的に市民の意識や要望を把握する機会として、市民アンケートの実施は不可欠な取り組みです。
議会基本条例は、「市民の信託に応える議会」を目指す根幹であり、その実践が市民にどう映っているかを確認することは、議会としての説明責任であり、市民との信頼を築くための責務でもあります。
市民の評価を受け、それを基に改善に取り組むことこそが、信頼される議会、開かれた議会につながるものと確信いたします。
よって以下の2点について、加須市議会において実施されるよう請願いたします。
・加須市議会基本条例に基づく議会運営について市民から評価・意見を収集すること。
・収集した結果を公開し、その内容を踏まえて議会運営の改善に取り組むこと。
以上、地方自治法第124条の規定により請願いたします。
次に、私が独自に行った調査の結果も踏まえてより必要性を訴えていきたいと思います。
まずこの調査の概要は、7年前に行われた「議会改革に関するアンケート調査」の内容と全く同じ内容となっております。つまり、7年前のアンケート結果と今回のアンケート結果を容易に比較することができるものとなっております。
主な質問は4つです。
1つ目「あなたは、加須市議会に関心がありますか?」
7年前は「関心がある、少し関心がある」と答えた割合が76%でした。
そして今回の調査結果は97.5%でした。21.5%増となりました。
「関心が無い」と答えた割合は、7年前が14%、今回が1.7%でした。
まとめますと、関心値が大幅に伸びていることがわかります。
2つ目「あなたは、加須市議会をどのように評価しますか?」
7年前は「評価する及びある程度評価する」が全体の50%でした。
そして今回の調査結果では7.4%であり、42.6%の減となりました。
また、「あまり評価しない及び評価しない」は、7年前が32%、今回が75.2%でした。
まとめますと、議会への評価が大幅に下がっていることがわかります。
3つ目「あなたは、加須市議会に市民の声が反映されていると思いますか?」
7年前は「反映されている及びある程度反映されている」が38%でした。
そして今回の調査結果では、7.4%であり、30.6%の減となりました。
また、「あまり反映されていない及び反映されていない」は、7年前が44%、今回が76%でした。
まとめますと、市民の声が反映されている実感は大幅に下がり、声が反映されていないと感じる方が大幅に上がったことがわかります。
4つ目「あなたは、どのような加須市議会の改革が必要と思いますか?(3つまで回答可)」
7年前は①市民対話 ②市民対話 ③資質向上であり、
今回の調査では①開かれた議会 ②議会中継 ③市議会機能向上となりました。
まとめますと、「対話」「資質」という“議員の姿勢”に注目していたが、現在は「中継」「公開」といった“制度的な透明性”が優先されていることがわかりました。
以上の事から、7年前の調査結果よりも良くなっているどころか、悪くなっている可能性が示唆されるため、今一度正式に調査を実施し、必要な改革を進めることが急務だと思われます。
皆さんにおかれましては慎重ご審議の程よろしくお願いいたします。
令和会(自民党)中島委員)
はい。今お話しいただいた独自調査についてですが、これはいつから、誰に向けて行い、何人から回答をいただいたのか。また、男女別・年齢別などが分かれば教えてください。
宮代)
はい、ありがとうございます。お答えいたします。
今年の5月18日から開始し、現在に至るまでの期間で実施しております。
性別は、男性57.9%、女性42.1%。
年齢別では、40代が最も多く28.9%、続いて50代26.4%、30代23.1%、60代14%、20代4.1%、70歳以上3.3%となっております。
地域別では、加須地域76.3%、騎西地域11%、大利根地域10.2%、北川辺地域0.8%。
なお、前回調査と同じ条件で「平成国際大学の学生のみ」とした市外回答は1.7%でした。
以上です。
令和会(自民党)中島委員)
回答人数は?
宮代)
失礼しました。回答は121件です。参考までに、前回7年前の回答数は271件でした。以上です。
令和会(自民党)中島委員)
はい、分かりました。11万2000あまりの人口の中から約120名の回答ということで、どこまで信ぴょう性があるかは分かりませんが、独自調査ということで理解しました。以上です。
公明党:大内委員)
はい。今、中島委員と同じことを聞こうと思っていたので大体わかりましたが、その他として「実施方法」と「アンケートの周知方法」を教えてください。
宮代)アンケートの実施方法は、Googleフォームを利用しております。
周知方法については、業者に依頼して各地域ごとに割り振ってポスティングを行いました。部数は2,000部ほどだったと記憶しています。(確認したところ8,820部でした)
そのほか、自身のSNS等の媒体を通じて協力をお願いしております。以上です。
公明党:大内委員)
はい。今回のアンケートについて、私の周りでは知っている人が全くいなかったので、公平性が保たれていたのかについて疑問を持ち、伺いました。
共産党:佐伯委員)
今回も、請願者は紹介議員の配偶者であります。請願に賛同する市民はお一人でしょうか。それとも他にもいるのでしょうか。
宮代)
はい、複数おります。
共産党:佐伯委員)
どれくらいいらっしゃいますか。
宮代)
具体的な数値として測ることは難しいのですが、周りの人で反対している方はいません。
共産党:佐伯委員)
ならば、そういった方々が請願者になることはできないのでしょうか。
宮代)
なること自体は可能です。しかし、ある方から「請願書に氏名と住所が記載されるのが怖い」との声がありました。
理由を伺うと…まぁ以前からも言われていることですが、請願者の名前と住所が公開されることで、紹介議員である私が少数派であることもあり、批判を受ける立場に請願者自身が置かれるのではないかという不安がある、とのことでした。
「後で何が起こるかわからない」という心配をされる方もおり、積極的に名前を載せたいという方はいませんでした。正直なところ、そのような状況です。
共産党:佐伯委員)
請願者になったからといって、何か圧力がかかるということは全くありません。紹介議員であるならば、加須市議会にはそういうことはないのだと、きちんとお伝えいただければと思います。
では次の質疑です。率直な疑問ですが、今回と同様の提案については以前、議会運営委員会で協議した経緯がありますが、なぜ改めて請願として提出したのですか。
宮代)
まず経緯ですが、議会運営委員会でこの協議をし、不採択という結果が出ました。その後、私は独自にアンケート調査を開始し、結果がある程度積み上がってきました。
それを見て、「これであれば請願として提出し、議会で正式に取り計らってほしい」という声を受け、今回の請願提出に至ったものです。以上です。
共産党:佐伯委員)
今の説明ですと、宮代議員ご自身が「請願を出したい」と判断された、ということですね。名前を挙げていた請願者の話は出てきませんでした。つまり、本人が請願を出したいと考えた結果、この経緯になったという理解をしました。
宮代)
理解できてない理解できてない。(ヤジ)
共産党:佐伯委員)
では次の質問です。この請願は大きく言えば「継続的な議会改革の取り組みを求める」ということになりますか。
宮代)
継続的な?議会改革を求める?まぁ、大枠としてはその趣旨で問題ないと思います。ただし、表題が長くなっているのは、内容を読まなくてもタイトルだけで中身が分かるよう工夫した結果です。そのため、長い表題になっている状況があります。
共産党:佐伯委員)
私はタイトルが長くなった経緯を尋ねているのではありません。件名を見ますと、まず「議会活動について」とあり、その後に「市民の声・市民の評価を聞くこと」、そして「継続的な議会改革に取り組むことを求める」と続いています。
ですから、先ほど申し上げた通り、この請願は大きく言えば「議会活動に関する継続的な議会改革の取り組みを求める」という趣旨でよろしいですか。
宮代)
概ね、その理解で差し支えないと思います。
共産党:佐伯委員)
了解しました。
新政会(自民党)宮崎委員)
請願書の中に「かつて議会運営委員会において市民アンケートが実施された際に~」という記述があります。この情報は議会の会議録から得たものなのか、どのように請願者に伝わり、こうした記載になったのか教えてください。
宮代)
私が発信しているブログに、事実に基づいた詳細な記録を掲載しています。その内容を請願者が読み、理解をした上で記載しています。なお、ブログの記録は音声など事実に基づいたものであり、根拠として担保できるものです。以上です。
新政会(自民党)宮崎委員)
請願を出したい方は他にもいらっしゃると先ほど答弁されましたが、その方々は「名前を出すのは嫌だから請願者になりたくない」ということでよろしいですか。
宮代)
もう一度経緯をおさらいします。議会運営委員会での協議の後に調査を始め、ある程度結果が出てきました。それを見て請願者の方が「請願を出したい」と言われたため、私が紹介議員となり、今回の請願提出に至っています。
また、他の方については「出したい」という人ではなく、この請願に賛同してくれる方はいる、ということを先ほど申し上げました。以上です。
新政会(自民党)宮崎委員)
市民アンケートについてですが、基準となっている7年前のアンケートは、市が実施したものだと私は理解しています。それでよろしいでしょうか。
令和会(自民党)原田委員長)
今のは……。
新政会(自民党)宮崎委員)
分からないのですが、7年前のアンケートは……。
宮代)
(挙手)
令和会(自民党)原田委員長)
宮代さん、ちょっとお待ちください。
宮代)
根拠がありますので、お答えできます。
令和会(自民党)原田委員長)
今の経緯ですぐに答えられる事務局はいません。では、宮代さんの持っている情報をお願いします。
宮代)
はい、ありがとうございます。これは議会改革に関するもので、議会が実施したものです。実施方法としては、市内全世帯に配布された『加須市議会だより』第30号に同封されたアンケート用紙の返信ハガキによる回答、またはパソコンやスマートフォンからのアンケートフォームによる回答となっています。
新政会(自民党)宮崎委員)
わかりました。あ、では……結構です。
公明党:大内委員)
今回の請願は、議会基本条例を市民が評価したいという趣旨だと思いますが、この「評価したい」と言っている市民はどのくらいいるのですか。
宮代)
市民が感じているのは、議会基本条例に基づいた議会運営がなされているかどうかであり、それを評価することだと思います。ただ、人数を正確に把握することは極めて難しいと考えています。
しかし、先ほどのアンケート結果をご覧いただいても、議会に「関心がある」と答えた方が97.5%に上っており、このことからも評価へのニーズはあると受け止めています。
公明党:大内委員)
今回の請願の経緯については、議会基本条例を自分たちで評価すべきだという市民の声があったから提出されたのだと思いますが、そのような声を出された人がどれくらいいるのかは分からないということですね。
宮代)
はい、先ほども申し上げた通り、具体的な人数を示すことは極めて難しいです。ただ、以前私がSNS、「X」だったと思いますが、そこで発信した際には非常に多くの方から賛同の声をいただきました。
そうした意味でも、市内外を問わず「議会内部だけでなく、市民からの第三者評価を受けるべきだ」と考えている人は多いと認識しています。私自身も、ほとんどの人がそうあるべきだと思っていると感じています。
新政会(自民党)宮崎委員)
先ほど大内委員とのやり取りで、請願者の方から「評価をしたい」という声があったとのことですが、そのような苦情などは入っているのでしょうか。
議会事務局)
私の把握しているところでは、現時点では入っておりません。
新政会(自民党)宮崎委員)
ありがとうございます。
令和会(自民党)原田委員長)
他に質疑のある方はいらっしゃいますか。──なしと認めます。
それでは、これより意見・要望・採決に入ります。請願第6号について、意見・要望のある委員は挙手をお願いします。
令和会(自民党)新井委員)
市民アンケートというふうに説明がありましたが、少なくともその結果については口頭での説明しかありませんでした。本来であれば「どのような形で実施し、どういう方法で集計したか」という報告が、私たちが見ても分かるように文書で示されるのが当然だと思います。
そのため、私はこの「市民アンケート」なんてものは全くわかりません。そういう意味では、前提がおかしいと思うので、意味が分からないですね。はい。意見です。
共産党:佐伯委員)
本請願の趣旨は「議会活動について市民の声を聞き、継続的な議会改革の取り組みを求める」というものだと思います。具体的には、最後に2点述べられています。
1点目は「加須市議会基本条例に基づく議会運営について、市民から評価・意見を収集すること」です。これについては、今年度中に3回の議会報告会を計画しており、その場で市民から議会に対する意見を聞くことができます。また、議会報告会のアンケートも実施する予定です。こうした機会を通じて市民のご意見を聴取することは十分可能です。
2点目は「収集した結果を公開し、その内容を踏まえて議会運営の改善に取り組むこと」です。これについても、現在、議会改革検討委員会を設置し、議会改革の協議を行っており、議員も委員として参加しています。このような仕組みがすでにあることから、継続的な議会改革は現在進行中であり、取り組む予定、あるいはすでに取り組んでいるものです。
したがって、本請願については採択する必要はないと考えます。以上です。
令和会(自民党)原田委員長)
他にご意見はありますか。──よろしいですか。
それでは、これより採決に入ります。請願第6号について採決を行います。賛成の委員の挙手を求めます。
事務局)
──挙手なし。
令和会(自民党)原田委員長)
挙手なしと認めます。よって、本請願は不採択と決しました。
結果は「不採択」
いかがでしたでしょうか。
反対の理由は「議会報告会で意見を聞く予定だから」「アンケートをやる予定だから」「議会改革検討委員会で議会改革の議論しているから」といったものでした。
残念ながら、「議会報告会」は関係ありません。なぜならこの請願の趣旨として「市民に評価をさせる」という仕組みではない全くの別物だからです。当たり前ですよね?
「アンケートをやる予定」とかそれっぽいこと言っていますが、アンケートの内容はおろか、目的すら決まっていません。しかも次回の検討委員会の議題にすら入っていません。なので反対理由にはなりません。
そして「議会改革検討委員会で議会改革の議論している」と言って反対していますが、これも請願に関係ありません。
しかもその議会改革検討委員会で議論をしている内容は
●議会報告会の運用について
●議員のSNS規制について
●議場へのPC持ち込み禁止について
ですよ?
議会報告会はいいとしても残りの2つは何ですか?
こんな議論をしている委員会があることで請願を反対する根拠になりますか?
意味が分かりません。
そして一番意味が分からないのが、全員反対したのに、反対意見を言ったのは共産党だけです。
何なんですか?これは。
自分の意見も言わずに反対の立場だけ取るってどんな姿勢ですか?
政治家として恥じて欲しいと思います。
市民の関心は7年前より高まっているのに、評価と信頼は大きく落ち込んでいる。
だからこそ「市民評価の仕組み」が必要だと訴えているのに、身勝手にそれを否定してしまう。
皆さんはどう感じますか。
次回予告
「発言を禁止します!」と議長の一言で宮代の最終討論がまさかの中断!!
その理由とはいかに…。
「議長が全てだよ!!」と怒号が飛ぶ始末。
「納得できない!!説明を!」とごねる宮代。
次回、言論弾圧!議長の言うことは絶対だゾ☆!!
デュエルスタンバイ!!