子どもは遊びによって物事を学びます。
そしてこの「遊び」というものは主体的なものを指します。
今回はこの遊びを支える理論を一つ紹介したいと思います。
それが「フロー理論」
これはその他の情報が入らないくらい1つのことに集中している心の状態のことです。
このフロー状態の行動原理は、
「わくわくするから」
「やらずにはいられない」などです。
我々保育士は、子ども達にこのような動機を持てるように、日々働きかけております。
このフロー状態になると、いろんなメリットがあります。
【パフォーマンス、能力の向上】
集中力が極限まで高められており、目の前のことに全神経を注ぎ活動することができる。そのため普段よりも高い成果を上げることができる。
【楽しさを感じる】
自分の力を最大限使って、目の前の課題を乗り越えていくことで、自己有用感を高め楽しさを感じることができる。
【自己成長を促す】
能力を最大限に使って目の前の課題を乗り越えていくため、自分の限界を引き上げることにつながる。その中で新しい能力を身に付けたり、試行錯誤を繰り返すことで、自然と能力の向上へとつながる。
フロー状態のメリットがわかったところで、
次にどのようにしてフロー状態になるのか話します。
フロー状態に入るためには3つの条件があります。
①明確な目標
②適切な難易度
③称賛されること
簡単に説明をしていきます。
①明確な目標
そのままの意味ですが、目標設定が不明確だと見通しも結果も持てません。
例えば、的当てゲームをする際に、「あそこらへんを狙いましょう」と何の変哲もない壁に玉を当てるのが楽しいでしょうか。壁に◎が描いてあって真ん中が100点で外側が50点で…と目標があるから「やろう!」となりますよね。
②適切な難易度
同じように的当てゲームを例に出します。投げる距離が5歳児なのに野球のピッチャーマウンドからだったらどうでしょうか。投げる前から「無理だよ!」となりますよね。難易度が高すぎると「どうせできない」とやる意欲が無くなります。反対に的に手が届きそうなほど近くてもなんにもおもしろくありません。
つまり、頑張れば届きそう、外すこともあるけど、まあまあ当たる。そんなバランスが良い。そして慣れてきてほとんど当たるとなればもう少し距離を離してみる、反対の手で投げてみるとか、ちょうどいい難易度が大事なのです。
③称賛されること
的に当たっても周りが無関心だったらどうでしょうか。「それの何がすごいの?」と言われて「よし!もっとやろう!!」となりますでしょうか。なりませんよね。成功体験を持っている大人であれば、「別に他人の評価なんて気にしないぜ」となるかもしれませんが、子どもは違います。「当たって嬉しい」という感情を持ってもすぐに消えてなくなります。
以上の条件を踏まえて我々保育士は遊びを展開して、子ども達が自ら「もっとやりたい!!」と遊び込めるように環境を設定しています。
意識してこの理論を使っていない方もいるかもしれませんが、遊びのプロである保育士は自然とこのようにやっております。
そしてこのフロー理論は遊びの基礎のようなものです。
また今度子どもが夢中になれる工夫やその仕組みをお伝えしたいと思います。
ではまた。