政治家同士の討論会を、もっと当たり前にしたい
私は、候補者同士、政治家同士の公開討論会を、もっと当たり前にするべきだと思っています。
政治家はよく、市民に対して「説明責任を果たします」と言います。
もちろん、市民に説明することは大切です。
しかし、政治家と市民だけでやり取りが完結する場合、その多くは、結局のところ「政治家が説明して終わり」です。
市民が質問し、政治家が答える。
一見すると、対話が成立しているように見えます。
しかし、政治家と市民の間には、圧倒的な情報量の差があります。
- 議会でどのような議論があったのか
- 委員会で何を言ったのか
- 過去に何に賛成し、何に反対したのか
- その政策が実現した本当の経緯は何だったのか
普段から議会を追い続けていなければ、すべてを把握することはできません。
そして政治家は、その情報格差を利用することができます。
都合のよい事実だけを並べる。
不都合な経緯には触れない。
あたかも自分が実現したかのように見せる。
過去の発言とは違うことを、平然と語る。
質問に正面から答えず、耳ざわりのよい話にすり替える。
はっきり言えば、政治家が市民を騙すことは、そう難しいことではありません。
だから私は、政治家の説明を、政治家本人の自己申告だけで終わらせてはいけないと思っています。
目次
政治家を最も厳しく追及できるのは、同じ現場を知る政治家です
政治家同士で討論する最大の意味は、同じ現場を知る者同士で、相手の主張を検証できることです。
同じ議会で働いている議員は、同じ資料を読み、同じ説明を聞き、同じ会議に出ています。
誰が何を言ったのか。
誰が何に賛成したのか。
誰が何を止めたのか。
誰が、市民の前で話していることとは違う態度を議会内で取っているのか。
そうした実態を最もよく知っているのは、同じ議会にいる議員です。
例えば、ある議員が市民に対して、
「私は以前から、この問題に取り組んできました」
と話したとします。
市民から見れば、それが本当かどうか分からないこともあります。
しかし、同じ議会の議員なら、
「その問題を議会で取り上げたことはありませんよね」
「その提案には反対していましたよね」
「委員会では、今とは全く違う説明をしていましたよね」
と、その場で追及できます。
嘘をつけば、ばれる。
誇張すれば、ばれる。
実績を盛れば、ばれる。
都合の悪い事実を隠せば、相手が出してくる。
私は、こうした緊張感のある場こそ必要だと思っています。
政治家同士が、お互いに最も厳しい監視者になる。
そのやり取りを、市民に見てもらう。
これこそが、討論会の大きな価値です。
政治家の発信は、基本的に自己申告です
政治家は、自分の活動を自分で発信します。
「これを実現しました」
「市民の声を届けました」
「議会改革を進めています」
しかし、これらは基本的に自己申告です。
自分で自分を評価し、自分に都合のよい部分を切り取り、自分の言葉で発信しています。
それだけを見て、その政治家を評価するのは危険です。
一般の職場でも、本人の自己評価だけで仕事ぶりを判断することはありません。
一緒に働く人の話や、実際の成果、仕事の過程も含めて判断します。
政治家も同じです。
本人が何を言っているかだけではなく、同じ現場にいた人から追及されたとき、その説明が耐えられるのか。
そこを見る必要があります。
政治家同士の討論会は、政治家の自己申告を、同業者が公開の場で検証する仕組みです。
私は、これが極めて重要だと思っています。
一方的な批判ではなく、反論できる場でもある
政治家同士の討論というと、批判や攻撃の場だと思う人もいるかもしれません。
しかし、本来の討論は、一方的な攻撃とは違います。
SNSでは、ある議員が別の議員を批判し、批判された側が説明しないまま終わることがあります。
あるいは、お互いが別々の場所で、自分に都合のよい主張を発信します。
その結果、市民には、何が事実なのか分からなくなります。
同じ場で討論すれば、批判された側も、その場で反論できます。
「それは事実ではありません」
「その資料の読み方は違います」
「その前提が間違っています」
と、すぐに返すことができます。
そして、追及した側も再反論できます。
主張。
反論。
再反論。
事実確認。
この流れを一つの場で見られるからこそ、市民は判断できます。
公開討論会は、追及する側だけに有利な仕組みではありません。
批判する側にも説明責任があり、批判される側にも反論する権利があります。
だからこそ、公平です。
政策だけでなく、政治家としての姿勢も見える
討論会で見えるのは、政策の違いだけではありません。
質問に正面から答えるのか。
都合の悪い事実も認めるのか。
過去の発言との矛盾を、どう説明するのか。
相手の話を理解して反論するのか。
間違いを指摘されたとき、修正できるのか。
逆に、論点をずらすのか。
感情的になるのか。
相手を馬鹿にするのか。
逃げるのか。
こうした姿勢には、その政治家の本質が出ます。
選挙公報や街頭演説では、準備された言葉を話せます。
SNSでは、何度でも撮り直せます。
原稿も、誰かに作ってもらえます。
しかし、討論ではそうはいきません。
相手から予想外の質問が飛んでくる。
矛盾を指摘される。
具体策を聞かれる。
財源を問われる。
過去の発言を示される。
そこで、どう対応するのか。
私は、そこにこそ政治家としての能力が出ると思っています。
市民に全部調べさせるのは無理があります
市民が政治家を正しく評価するために、すべての議事録を読み、すべての会議を見て、すべての採決を確認する。
そんなことができれば理想です。
しかし、現実には無理があります。
仕事があります。
子育てがあります。
介護があります。
生活があります。
市民に対して、
「自分で全部調べて判断してください」
と丸投げするのは、あまりにも不親切です。
だからこそ、政治家同士が互いの主張を検証し、争点を分かりやすくする必要があります。
議員が相手の矛盾を指摘する。
相手が反論する。
資料を示す。
事実関係を整理する。
その一連のやり取りを見ることで、市民は政治家の違いを理解しやすくなります。
市民に政治家の言葉をそのまま信じてもらうのではなく、十分に検証された情報を見てもらう。
その上で判断してもらう。
私は、それが政治家の責任だと思っています。
議会は本来、討論する場所のはずです
そもそも議会は、異なる意見を持つ人たちが議論する場所です。
行政が説明し、議員が追及する。
議員同士が意見をぶつける。
賛成と反対の理由を明らかにする。
そして、市民がその過程を見る。
本来は、これが議会の姿だと思います。
ところが実際には、議員同士が直接議論する機会はほとんどありません。
一般質問は、議員と行政とのやり取りです。
討論も、用意した原稿を一方的に読むだけで終わることがあります。
採決では、賛成か反対かだけが示され、なぜその判断をしたのか説明しない議員もいます。
これでは、市民から見て、政治家同士の違いは分かりません。
全員が市民の前では、
「市民のために頑張ります」
「子育てを大切にします」
「地域を良くします」
と言います。
しかし、そんな抽象的な言葉だけなら、誰にでも言えます。
大切なのは、具体的な問題について何を考え、なぜそう考え、反対意見にどう答えるのかです。
それを見るためには、議員同士の討論が必要です。
討論会を、ただの口げんかにしないために
もちろん、議員同士であれば、どんな討論でもよいわけではありません。
人格攻撃や大声の応酬では意味がありません。
話がうまい人だけが勝つ場でもいけません。
討論を成立させるには、ルールが必要です。
- 事実と根拠に基づいて話す
- 質問に正面から答える
- 反論と再反論の機会を保障する
- 過去の発言や議事録、資料を示せるようにする
- 発言時間を公平にする
- 司会者が論点のすり替えを許さない
- 全編を公開し、後から確認できるようにする
特に重要なのは、記録に基づく討論です。
「言った」「言わない」で終わらせない。
「この会議で、こう発言しています」
「この採決では、こう判断しています」
「この資料には、こう書かれています」
と、誰でも確認できる形で議論する。
そうすれば、討論は単なる口げんかではなく、政治家の主張を検証する場になります。
政治家の言葉を、政治家本人の説明だけで完結させない
私は、政治家が市民に説明することは当然だと思っています。
しかし、政治家の言葉を、政治家本人の説明だけで完結させてはいけません。
権力を持つ人の説明には、必ず検証が必要です。
同じ議会で働き、同じ資料を見て、同じ経緯を知る議員同士が、互いの主張を公開の場で検証する。
嘘をつけば指摘される。
誇張すれば指摘される。
話をすり替えれば追及される。
そして、追及された側も、その場で反論する。
その一連のやり取りを、市民が見て判断する。
私は、これが健全な民主主義の姿だと思っています。
討論会は、単なる選挙イベントではありません。
政治家の自己申告を検証する場です。
政治家同士が、お互いに最も厳しい監視者になる場です。
その政治家の言葉が、本当に事実と根拠に耐えられるのか。
その政治家が、異なる意見や厳しい質問から逃げないのか。
それを市民が直接確認できる場です。
候補者同士、政治家同士の公開討論会を、もっと当たり前にする。
私は、それが政治を市民に取り戻すための、大きな一歩になると思っています。
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